投資コラム

フルローンのリスク

コインの上の家

不動産投資は所有する物件を第三者に賃貸することで、家賃収入という形で収入を得る投資手段です。入居者がいれば自分は働くとも不労所得が得られるということで、副業としても人気が高まりつつあります。

不動産投資には物件を購入するために高額な自己資金が必要です。しかし昨今では必要な資金を全てローンでまかなう「フルローン」を推奨してくる金融機関も少なくありません。

「自己資金ゼロで不動産投資」とても魅力的なキャッチフレーズですが、フルローンにはそれなりのリスクが存在し、安易にフルローンで融資を受け不動産投資を始めるのは危険です。

この記事ではフルローンで不動産投資ローンを組むリスクについて紹介します。

フルローンとは

ローンイメージ

フルローンとは、不動産物件の購入金額と同額の金額を金融機関からの融資で行うローンのことです。頭金0円で物件購入金額の100%を借入れすることになります。フルローンは、その内容から全額融資(全額ローン)とも呼ばれています。

一般的に、金融機関は不動産物件価格の6割~8割くらいまでしか融資しません。

フルローンが利用できるのは、物件の担保評価額+借主の信用貸出枠が物件価格を上回っている場合です。その場合は金融機関が融資しても安全と考えフルローンが適用可能な場合があります。

かつては、スルガ銀行、オリックス銀行、千葉銀行などの金融機関がフルローンを積極的に行う時期もありましたが、近年はフルローンが利用できるような不動産物件やフルローンの融資を行う金融機関は少なくなっています。

不動産購入時にはどのくらいの自己資金が必要か

一万円札の男性

フルローンの最大のメリットは自己資金ゼロで始められることです。では、そもそも不動産投資を始めるためにはどの程度の自己資金が必要なのでしょう。

一般的には、物件価格に対して20~30%の自己資金が必要だと言われています。例えば、購入を検討しているのが1,000万円であれば、200~300万程度です。

これだけの金額を準備するのは、なかなか大変です。しかし、フルローンを利用すればすぐに不動産投資を始めることができます。資金力がない若手の不動産投資家がフルローンを利用して次々と物件を手に入れ、資産形成に成功しているケースも存在します。

加えてフルローンで潤沢な資金を得ることで、自己資金だけでは到底購入できない高級住宅物件を購入することも可能です。このようにフルローンは不動産投資開始へのスタートダッシュを切れるだけではなく、選択肢も広げることができます。

フルローンのリスク

リスクイメージ

上記のようにフルローンには一定のメリットがあります。しかし、以下のリスクにも注意する必要があります。

返済の負担が大きくなる

物件価格の全額を借入れするフルローンの場合、当然返済するトータルの額も多くなります。その分返済期間が長くなるので利息額も増えます。空室の増加や経年劣化による家賃下落、物件の修繕費が膨らむなどで収益が悪化してしまうと、月々の返済額のほうが高くなってしまう可能性があります。

フルローンには、借入金が多いゆえに月々のキャッシュフローがマイナスなってしまうリスクがあるのです。

金利上昇時の影響が大きい

変動金利でフルローンを組む人が多いと思いますが、借入金の総額が大きいためその分金利上昇時時の影響も大きく受けます。金利が上がり、返済額がアップしたことでやはりキャッシュフローがマイナスになってしまうリスクがあります。

フルローンでも自己資金が必要となってくる

自己資金がゼロというのがフルローンのメリットですが、全く自己資金がないのは大変危険です。なぜならば、不動産投資の初期費用には物件価格に対する自己資金以外にも不動産所得税や登録免許税などの諸経費がかかってくるからです。これらの費用は物件価格の8〜10%程度と言われており、フルローンで融資を受けられたとしても現金での支払いが必要になってきます。

また、物件の修繕費やリフォーム代も発生する可能性もあります。いざという時のために完全な自己資金ゼロではなく、ある程度の現金を手元に置いておくようにしましょう。

物件が売却できなくなる

フルローンのメリットとして、高額な物件を購入することができることを上述しました。しかし何らかの理由でその物件を売却しようとした際に物件が高価過ぎて、中々買い手がつかないなんてこともあります。結果的に売却を焦るあまり大幅に値下げした価格で売却し、大損してしまう可能性もあります。

フルローンの失敗例

失敗して落ち込む男性

失敗例1

購入価格:9,600万円
金利:3%(フルローン)→4%に上昇
返済期間:30年
利回り:10%
築年数 :新築
タイプ:アパート
駅から車で2~3分

新築時は満室ということもあり家賃収入は80万円だったが、10年経過すると新築時の満室想定の70%程度の家賃収入しか入らなくなるようになり経済の影響を受け金利も4%に上昇し収支がマイナスになってしまいました。今では毎月の金利を返済するのも難しく、毎月働いたお金で補填している状況です。

失敗例2

購入価格:12,000万円
金利:10年固定金利2.5%
返済期間:30年
利回り:8.4%
築年数 :新築
タイプ:アパート
東京都内で一括借り上げ30年間家賃保証付き

大手アパート建築メーカーが芸能人を使って大々的に宣伝していた物件で、しかも30年間家賃保証されるとその当時は勘違いし安心だと思い購入してしまいました。ただし、実際の契約書には、初回更新は5年目、2回目更新は10年目、以後は2年おきに更新という保証家賃の改定が記載されていたのです。そして、保証家賃改定時に提示された保証額に満足できない場合は、解約を迫られ仕方なくその条件を更新するしかありませんでした。建築時には、あれだけ毎日のように連絡がきて一生のお付き合いをしていきましょうと言っていたのが嘘のようでした。最終的には、10年で当初の家賃の実に77%と家賃下落率23%になり、ほとんど収益がでない状況になってしまいました。

どうしてもフルローンを活用する場合の物件選び

物件を見てメモする人

ポイント1:販売価格よりも銀行評価の高い物件を選ぶ

物件を選ぶ際には金融機関の評価が高い物件を選びましょう。金融機関評価の参考例としては、土地の値段は路線価、建物は固定資産税評価額をよく確認するようにしましょう。また、不動産会社や自分でその周りの物件の相場が過去にどのような推移になっているかを調べた上で選びましょう。

ポイント2:投資総額の低い中古物件を探す

中古物件は、古くて修繕がかかる、入居者に人気がない、長期所有に向かないなど、デメリットが考えられると思いますが、相場・市場価格よりも安く売られていて実際には資産価値の高い掘り出し物が潜んでいたり、長期修繕やリフォームが適切に行われていて新築と同じくらいの賃料を得ることができたりとメリットがあります。また、万一、土地だけにして売却すれば投資金額を回収しやすいという利点から良いです。

フルローンのリスク まとめ

電卓をみる人

本記事では不動産投資をフルローンで始めるリスクについて紹介しました。フルローンには、経営がうまくいっていれば、自己資金ゼロで不動産資産を得ることができるメリットがあります。しかし、紹介したリスクも内在することを忘れずに検討していただけばと思います。